とりつくしま(東直子)

重松清『その日のまえに』以来の泣ける本だった気がする。

未練を残して亡くなった人に「とりつくしま係」が話しかける。なんでも、現世に戻って、モノにとりつくことができるらしい。生きているものでは元々の魂が入っているためダメらしい。

1話目の「ロージン」から結構くる。野球でピッチャーが滑り止め(?)としてつける白い粉。息子のロージンにとりついて見守る母親の話。

2話目の「トリケラトプス」は、夫のマグカップにとりつく。2年前に結婚したばっかりなのに亡くなったというのは悲しい。ピルクルを買うために出かけて、交通ルールを守ったのに、車にはねられてしまうというのは残念。悔やみきれないだろうな。男性読者としは嫉妬っぽさが少し怖いと思う部分もあるけど。苦笑

3話目の 「青いの」は子どもがジャングルジムにつく。亡くなってしまったけど、妹や母親に会える点はいいけど、成長してしまったら公園に来てくれないだろうなぁ。

4話目の「白檀」は切ない。書道の先生に恋心をいだいていた弟子の話。恋心を抱きつつも、先生の奥さんのことが大好きな主人公なので、切ない。でも毎年少しの期間会えるものを選ぶというのは慎ましく切ないなぁ。

5話目の「名前」では図書館司書の名札になる老人を描く。これも恋心なのかな。これは女性からしたら気持ち悪いのかな(苦笑)

6話目「ささやき」では、母親の補聴器にとりつく。素直じゃない母親に、補聴器の娘はささやきかけるが、その声は届かない。

7話目の「日記」と8話目の「マッサージ」では読んでて号泣してしまった。妻の日記にとりつく夫や、マッサージ機にとりつく父親。奥さんともっと幸せに暮らせばよかったと伝わって来る。自分も後悔しないように過ごしたいと思った。
マッサージ機に話しかける娘のところが不意打ちで泣いてしまった。

9話目「くちびる」ではリップクリームにつく高校生、10話目「レンズ」ではカメラのレンズにとりつくおばあちゃん。第二の人生(物生)として、すこしはいい思いをできているようで良い。

全体的に切ない物語が多かったけど、面白かった。ページ数もそんなに多くないので、サクッと読めた。

小説
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