幸福の増税論(井手英策)レビュー

 
 
 
私が大学時代、最も面白かったと感じた授業、履修してなくても(授業に潜ってでも)聞く価値があると感じた授業、それが井手英策教授の「社会問題2」「財政社会学a・b」でした。
 
本書をすごくざっくり紹介しますと、「勤労と倹約の美徳、自己責任社会はもはや成り立たなくなっている。ベーシック・サービスという概念で、生きるために必要なすべての社会保障サービスを、全員が無料で使えるように、税金を上げて、痛みを分かち合いましょう」ということです。税金は消費税で換算すると19%にすれば財源を賄えるが、他の税とも組み合わせる選択肢もある、とのことです。
 
これまでの高度経済成長のような、経済成長で、賃金を上げ、貯蓄をさせ、それで「自己責任で」もしもに備えるというモデルは成り立たなくなっている。
必要なのは、富裕層も貧しい人からも税をとり、痛みを分かち合い、その上で全員が安心して社会保障サービスを享受できる社会だ。
そんなことを言っています。
 
授業でも言っていましたし、本書でも書いてありました。
「なぜ、日本は(データから見ても)小さな政府であるのに、国民はここまで増税を嫌うのか。それは税が自分たちの暮らしに役立っている実感がないのではないか」
「政府が無駄を減らせば、財源はあるはずだと言う人もいるが、民主党の事業仕分けでも、財政規模から見てそこまで大きな財源はみつからなかった」
根拠のあるデータが物語っているのです。しかし、ただ論理的なだけではなく、感情にも訴えかける話し方(書き方)です。
 
 
以下は、2017年の民進党定期大会でのスピーチです。スピーチライターがいるのか、ご本人が書いたのかわかりませんが、人の心を動かし、しかも民進党にこびるわけでもない強いメッセージです。

もし井手さんがまた政党の政策アドバイザーを(または自ら政治家を)やったら、間違いなく投票してしまうと思います。 また、冒頭に紹介した書籍でも、「はじめに」から非常に読みやすく魅力的な文章を書かれていますので、年末年始の読書にオススメします。

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