いつも「時間がない」あなたに(センディル・ムッライナタン、エルダー・シャフィール)

行動経済学を時間や金銭について考えた書籍です。

印象的な言葉

134ページ
「豊かさのせいで、人は1ドルの価値を知ることができない」
これはよくいう、10分くらいかかるスーパーで野菜等が5000円安く買える場合と、10分くらいかかる車の販売店で車が5000円安く買えるという場合で、人々が選ぶ行動が変わることです。
同じ5000円の節約でも、前者のシチュエーションでは遠いスーパーに行くが、後者では遠くの販売店にはいかないでしょう。
トレードオフまで考えて、1ドルの価値がわかるのは貧困者なのだそうです。なぜなら彼らは毎日トレードオフに直面しているからです。
同じように、暑い日にビーチで寝転んでいて、ビールが欲しい時、リゾートホテルで買うのと小さな食料品店で買うのを比べる話は、貧困者では変わらない値段を考えるそうです。
本書のメインの主張はトンネリングスラックと、処理能力です。
トンネリングは、欠乏状態のとき、トンネルの中に入っているように一つのことに集中してしまうことです。集中というのはメリットですが、中長期的な視点を見失います。お金の欠乏によるトンネリング、時間の欠乏によるトンネリングが、代表的です。
スラックは、“あそび”のことです。バッファとも言いますね。お金や時間にスラックがあることが、生活する上で重要です。
本書で言う処理能力とは、計算する能力、注意を払う能力、賢明な決断をする能力、計画を守る能力、誘惑に抵抗する能力の包括的な用語です。
欠乏に面した人は、そのことが頭に居座ることで、処理能力が落ちてしまうたいうのは興味深いところですね。例として、お金の工面に悩んでいる学生は、勉強に身が入らないことが挙げられています。
社会保障などと絡めて、貧困者の生活改善について行動経済学から考えているのは非常に興味深かったです。貧困者に、一回借金をチャラにするような施策をしても、その後突発的な出来事が生じると、スラックが無いため、また貧困に戻ってしまうのは成る程と感じました。
お金を時間に置き換えても話が通じます。いっとき忙殺されて、同僚に手伝ってもらっても、予定を詰め込みすぎる傾向のある人は、また忙殺されてしまうというのは、納得できるのではないでしょうか。
また、貧困者は現金が足りないだけじゃなく、処理能力も足りないというのは面白いです。同じ人であっても経済的な問題について考えているときでは処理能力が落ちるのです。
貧困者は処理能力が落ちるため、薬を飲み忘れたりするそうです。
欠乏が招く処理能力の低下には気をつけないといけない、ということがわかります。
また、以上のことを踏まえて、欠乏に合わせた設計をするのが重要です。ほったらかしても貯金できるように給与天引きにしたり、お金に余裕のある時に、先払いしたりすることが挙げられていました。

最近自分の月末口座残高の推移を見てみたら、減っている流れだったので、給与から先に引くことを始めようかと思いました(笑)

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