人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか(玄田有司 編)

昨今、人々が疑問に思っていることでしょう。一般的に、経済学では需要が増えたり、供給が減れば価格は上がると言われています。それではなぜ、人手不足である≒労働需要が増えているのに賃金は上がらないのでしょうか。本書では16章に分かれて、様々な視点から分析しています。
労働生産性や、賃金の上昇が、好景気を生み、株式相場なども良くなることに繋がるはずですが、今の状況ではそう簡単にはいかなそうですよね。
本書を読んで一番興味を引いたのは、(賃金の上昇から少し逸れるが)第6章での先行研究で、非正社員による正社員の代替が企業内OJT実施の阻害要因であったことが示されている点です。
つまり、それまで正社員が行なっていた簡単な、下積み的な難易度の低い定型業務や、独立性と標準化の程度が高い業務を、非正社員がやるようになることによって、正社員には非正規化が進んだ職場の管理業務という難易度の高い、新しい職務が任されることになったのです。
非正規化は短期的には人件費を節約できるが、現在のベテラン正社員が退職した後の後継者育成という長期競争に欠点がある、というのは納得でした。
当該先行研究として紹介された南雲智映・平井光世・梅崎修(2017)「非正規化が正社員の人材育成に与える影響ーA大学職員の事例分析」『大原社会問題研究所雑誌』(掲載予定)は読んでみたいですね。
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