東京女子医科大学の財務状況(ボーナス0円のニュースから)

相変わらず、東京の新型コロナ新規感染者が増えています。もう第二波ですよね。そんななか、昨今のコロナ禍で危険な状況でも働いてくれている医療従事者に東京女子医科大学がボーナスを支給しないことがニュースになっていますね。

文春オンライン

これは、非常に悲しいというか、いくら新型コロナウイルスで経営が悪化したと言えど、どうなんだろ、と感じますね。

Twitterでも批判が出ています。

財務状況を少し見てみました

そこで、本記事では東京女子医科大学の財務状況について簡単に見てみたいと思います。
ただ、公開されている最新の決算は2018(平成30)年度だったので、コロナとは全然関係ない時期です。
出典:東京女子医科大学 法人・大学案内 事業計画・報告書

キャッシュフローを見る活動区分資金収支計算書を見ても、教育活動資金収支差額+46億円、施設整備等活動資金収支差額△70億円、その他の活動資金収支差額+52億円となっています。2つ目の施設整備等活動資金収支差額が大きなマイナスですが、施設整備をしている年度であれば、ここはマイナスになりますので大きな問題はなさそうに見えます。

文科省の資料でまとまっていたのが以下です。

財務分析の視点
区分 通常A 通常B 困難A 困難B
教育活動資金収支差額
施設整備等活動資金収支差額
その他の活動資金収支差額

出典:文部科学省「学校法人会計について」P.23

私立学校振興・共済事業団による経営判断指標によると、東京女子医科大学は「A3 正常状態」に入りますので、2018年度決算においてはそこまで問題がなさそうです。

ただ、上記の経営判断指標の項目である「経常収支差額が3か年のうち2か年以上赤字」では「いいえ」となるものの、さらーっと2017年度決算と2016年度決算(ともに事業活動収支計算書)を見た感じでは、基本金組入前当年度収支差額が2か年ともマイナスだったので、収入の合計から支出の合計を引いたもの(基本金組入前)がマイナスということで、あまり財務状況はよくなかったみたいですね。これは企業で言うと当期純利益がマイナス(つまり最終的に損益計算書で赤字)になっている感じです。更にそれより前をさらーっとみても、2014(平成26)年度から継続して、基本金組入前当年度収支差額(旧会計基準では「帰属収支差額」)がマイナスとなっているようなので、あまり良くないですね。

活動区分資金収支計算書を2015(平成27)年度から見ると、キャッシュフローは回っているので、その点は大丈夫だったようです(それより前は、旧会計基準なので「活動区分資金収支計算書」が存在しません)。事業活動収支計算書がマイナスでも、資金収支計算書がプラスということは、例えるなら損益計算書はマイナスだけど、キャッシュフロー計算書はプラスみたいな感じです。

結論

以上をまとめると、「2014〜2017年度で基本金組入前当年度収支差額がマイナスだったので財務状況はよくなかったものの、資金収支計算書からみるキャッシュフロー的には回っている状態だった」ですかね。

(2019年度決算は公開されていないのでわかりません。ただ新型コロナウイルスによって通常の外来や入院が減ったことを考えると医療収入になかなかの打撃があったはずで、基本金組入前当年度収支差額がマイナスになることも考えられますね。)

財務指標(比率とか)を分析するのは、経年比較、他の医科系大学との比較、医科系大学の平均(文科省か事業団が集めているのかな?それも調べてない)を調べる必要があると思ったので心折れました。

理事室の改修に6億円とありますが、仮に適当に50万円の賞与を看護師1124名(2020年1月現在。東京女子医科大学病院Webサイトより)に出すと仮定しても5.6億円かかります。もちろん、医師831名、その他866名にも支給するともっとかかりますし、新宿の本院以外にも病院があるらしいので、もっと医療スタッフはいますが、理事室よりは良い使途ではないかと。

理事室の改修に第2号基本金を積んでいるのか、建設仮勘定があるのかわかりませんが、理事会の決断で、ストップできたんじゃないでしょうかね。最終手段である、基本金を取り崩すのは、文科省とか会計士が良い顔しないのでしょうか。基本金取り崩しの心証というか温度感は、私の勤続年数ではわかりません。。。
東京女子医科大学の内情については、東洋経済の記事が詳しかったので、こちらもどうぞ。


2020.7.18追記

一転して、ボーナスを検討しているという報道がありました。
文春オンライン

記事中の看護師が言うように、実際に支給されるまでは安心できないものと思われますが。

大学職員
スポンサーリンク
ぴろセルフインベストメント