今回は、最近巷でアーリーリタイアを目指すサラリーマンに流行している(と私は感じている)ジェレミー・シーゲルの本です。
10年以上前の本ですが、シーゲル流投資ということで、高配当米国株を勧めるブログも多いです。有名なのはバフェット太郎さんですね。
さて、そんなシーゲル流投資ですが、ブロガーの方はちゃんと一冊二冊読んでブログ書いてるのか疑問だったので、読んでみました。
内容まとめ
成長してる企業だからといって、株のリターンが高いとは限らない。逆に市場の期待が高い銘柄ほど、買われて割高となる。それはつまり、時価総額が高くてもリターンが高いとは限らないということ。
これまではシーゲルも、インデックス投資が最も良いと考えていたが、S&P500の組み入れ銘柄が、当初のままだったらもっとリターンが良かったことを発見。
また、増益率が高く、株が買われて市場の期待が高いと、良い業績でも、”市場の期待と比べて”良いか悪いかでみられるため、株価は上がりづらいが、市場からそこまで注目されていない企業であれば、期待も少ないため、少し良い決算を出すと株価が上がる。
株式の長期的なリターンは増益率そのものではなく、実際の増益率と投資家の期待との格差で決まる。(P.46)
高配当株は、株価が下がると配当利回りが上がる。そのため、下がったときにも買い増し、配当金も再投資していくと、株価が回復したときに、リターンが爆上げ。
投資家リターンの基本原則は、株式が配当を生むとき、効果が増幅する。(P.48)
ニューヨークダウのうち高配当10銘柄に投資する「ダウの犬」戦略や、S&P500で高配当10銘柄に投資する「S&P10種」戦略は、過去約50年で、ニューヨークダウや、S&P500よりも成績が良い。
黄金銘柄(コーポレート・エルドラド)に支払う対価はPERで20〜30倍程度で市場平均をわずかに上回るくらい。
技術革新が起きると生産性が高まって、企業の利益が増える、と思うかもしれないが結局周りの企業も同じ仕組みを導入することで、それが業界の標準となり、コスト減が価格に反映されるため、最終的に恩恵を受けるのは消費者である。
シーゲルによると、株式の実質リターンは年率6.5〜7%、インフレ調整後の平均リスクも、保有期間が15年〜20年になると、債券よりも低くなる。
今後、先進国の高齢化、ベビーブーム世代のリタイアで、生活費にするために金融資産が売られるが、買い手がいないと、価格が下がってしまう。そこでグローバルソリューション(世界的解決)として期待できるのは新興国。新興国の発展・生産性向上などにより先進国への輸出が増え、先進国退職者の金融資産の買い手にもなる余地あり。
シーゲルの勧める投資戦略
国際インデックス運用をポートフォリオのコアに、Dividend(配当) International(国際)Valuation(バリュエーション)を意識。
シーゲルが進めるポートフォリオは、以下
インデックスファンド50%
(30%の米国株と20%の非米国株)→VTIやDIA、EFA、EWCなどが勧められている
リターン補完戦略が50%(次の各々10〜15%)
・高配当戦略(ダウの犬や、REIT(IYR、RWR)など)
・グローバル戦略(多国籍企業への分散、S&Pグローバル100(IOO)など)
・セクター戦略(石油および天然資源、医薬品、有名ブランドの生活必需品など)
・バリュー戦略(低PER、生き残り上位、バークシャー・ハサウェイなど)
となっている。
感想
シーゲルが、当初S&Pで試算した結果には一つ気をつけなければならない点があると思います。それは、S&P構成銘柄が入れ替わったからこその結果でもあるということです。(当たり前のこと言ってますね苦笑)
新興企業が大幅に業績を拡大したからS&Pに組み入れられたのですが、もし組み入れ銘柄が変わらなかったとしたら、当初の構成銘柄はここまで良いリターンとなったかはわかりませんよね。
つまり、増益率が高く、短期的に大多数の投資家がむらがる銘柄があってこその、戦略なのではないかな、と思いました。
そういった意味で、本書序文の「いつか市場参加者の多くが真似をしたら」というシーゲルの指導教官(ポール・サミュエルソン)の言葉もあるのではないでしょうか。
連続増配している高配当株というのは、経営者の姿勢が出ていますし、配当が株価の下支えとなるので、その点優れていると感じました。
ただ、この本は2005年初版なので、もう15年程経っています。連続増配などは、今一度確かめた方がよいでしょう。
あと、今回読んで意外だったのでは、シーゲルも結局はポートフォリオの半分はインデックス投資を勧めていて、残り半分の補完戦略で高配当の銘柄やETFを勧めています。一部のブロガーが「シーゲル流投資は、高配当の個別株だ!」というのはちょっと違いますね。
(もし、シーゲルが他の著書でそういう主張をしているのかは知りませんが)
巷で言われていることに惑わされないよう、元の本を読んでみると面白い発見があります。原著をあたるだけの英語は私にはありませんが、日本語訳が出ている場合は読んでみましょう。
株式投資やインデックス投資をするならまずは実際に証券口座を開いてやってみましょう。
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