学校法人の決算スケジュール逆算カレンダー

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学校法人の決算業務は、「いつまでに何を、どの順番で」が法律で決まっています。計算書類を作ってから、監査・理事会の承認・評議員会・所轄庁への提出・公表までを、期限に間に合う順序で段取りしなければなりません。本記事では、学校法人の経理部・財務部向けに、決算スケジュールを提出期限から逆算する形で、根拠条文とあわせて1枚に整理します。改正私立学校法(令和7年4月施行)を前提としています。

スケジュールの起点は「会計年度終了後3月以内」です。私立学校法第98条により、3月31日決算なので、6月末が計算書類等の作成と所轄庁への提出の期限になります。

目次

結論:決算スケジュール早見表

先に全体像です。時期の目安のうち、太字は法律で固定されている期限、それ以外は順序から導かれる実務上の目安です。

ステップ内容根拠条文時期の目安
1決算整理・計算書類等の作成私立学校法第103条4〜5月
2監事の監査(会計監査人設置法人は監事+会計監査人の監査)同第104条第1項・第2項5月頃
3理事会による承認同第104条第3項5〜6月
4評議員会の招集通知・評議員への計算書類等の提供同第70条第4項・第105条第1項定時評議員会の1週間前まで
5計算書類等・監査報告の備置き開始同第106条定時評議員会の1週間前の日から
6定時評議員会(内容の報告・意見聴取。寄附行為により決議とする法人も=下記注意)同第69条・第105条第2項・第3項6月(会計年度終了後の一定の時期)
7所轄庁への提出私立学校振興助成法第14条第4項6月末(会計年度終了後3月以内)
8情報の公表私立学校法第137条・第151条提出後、遅滞なく

計算書類等の承認は、法律上の原則では理事会の決議事項です(第104条第3項)。定時評議員会は、承認済みの計算書類の報告を受けて意見を述べるのが法律のデフォルトです(第105条第3項)。ただし私立学校法は、評議員会の意見聴取事項について、意見聴取に代えて決議(承認)を要する旨を寄附行為で定めることを認めています(第66条第4項。同条第2項第5号による職務の追加も同旨)。決算を評議員会の議決事項としている法人もあるため、自法人の寄附行為の定めを必ず確認してください。

逆算の起点になる2つの「期限」

決算スケジュールで法律に固定されている日付は、実はそれほど多くありません。次の2種類のアンカー(固定点)から逆算するのが、段取りのコツです。

起点A:会計年度終了後3月以内

計算書類等の作成期限(私立学校法第103条第2項)と、補助金の交付を受ける学校法人の所轄庁への提出期限(私立学校振興助成法第14条第4項)は、どちらも「毎会計年度終了後3月以内」です。3月31日決算なので6月30日。ここが動かせないゴールになります。

起点B:定時評議員会の1週間前

評議員会の招集通知は、評議員会の日の1週間前までに発しなければなりません(私立学校法第70条第4項)。そして、この招集通知に際して、承認済みの計算書類・事業報告書・監査報告を評議員に提供します(第105条第1項)。さらに、計算書類等・監査報告の備置きも「定時評議員会の日の1週間前の日」から始まります(第106条)。つまり評議員会の日が決まれば、その1週間前という点で複数の手続が連動します。

一方で、監事監査・会計監査人監査・理事会の承認については、法律が特定の日付を定めているわけではありません。監査 → 理事会の承認 → 評議員への提供 → 定時評議員会という順序を守りつつ、起点Aの6月末に間に合うよう各法人が日程を組みます。

各ステップの詳細

ステップ1:計算書類等の作成(〜会計年度終了後3月以内)

学校法人は、毎会計年度終了後3月以内に、計算書類(貸借対照表・収支計算書)・事業報告書・これらの附属明細書を作成します(第103条第2項)。計算書類とその附属明細書は、作成から10年間の保存義務があります(同条第4項)。実務では4〜5月にかけての決算整理がこの作業にあたります。

ステップ2:監査

作成した計算書類等は、監事の監査を受けます(第104条第1項)。会計監査人を設置している学校法人では、計算書類とその附属明細書について、監事に加えて会計監査人の監査も受けます(同条第2項)。会計監査人の設置義務がどの法人に及ぶかは、会計監査人の設置義務がある学校法人とはで整理しています。

なお、会計監査人を設置していない法人でも、補助金の交付を受ける学校法人は、私立学校振興助成法第14条第2項により原則として公認会計士または監査法人の監査(いわゆる助成法に基づく監査)を受けます(補助金が少額で所轄庁の許可を受けた場合を除きます)。監事監査と会計監査人監査の役割の違いは、監事監査と会計監査人監査はどう違う?で解説しています。

ステップ3:理事会による承認(第104条第3項)

監査を受けた計算書類等は、理事会の決議による承認を受けます。この承認は、監査報告(会計監査人設置法人では会計監査報告を含む)の内容を踏まえて行うものとされています。ここが計算書類の確定にあたる重要な手続です。

ステップ4:招集通知と評議員への提供

理事は、定時評議員会の招集通知に際して、承認を受けた計算書類・事業報告書・監査報告を評議員に提供します(第105条第1項)。招集通知は評議員会の日の1週間前までに書面等で発します(第70条第4項)。したがって、この時点までに理事会の承認まで終えている必要があります。

ステップ5:備置きの開始(第106条)

計算書類等・監査報告は、定時評議員会の日の1週間前の日から、主たる事務所に5年間、従たる事務所に写しを3年間備え置きます。ここから債権者等による閲覧請求に応じる態勢が必要になります。備置き・閲覧・公表の全体像は計算書類・財産目録等の公表義務と備置き・閲覧の実務にまとめています。

ステップ6:定時評議員会(第69条・第105条)

定時評議員会は、毎会計年度の終了後一定の時期に招集します(第69条第1項)。理事は、承認済みの計算書類・事業報告書を定時評議員会に提出し、その内容を報告して意見を聴きます(第105条第2項・第3項)。法律のデフォルトでは、ここは「承認」ではなく「報告・意見聴取」の場です。ただし、寄附行為で評議員会の決議(承認)を要すると定めている法人では、この定時評議員会が承認の場になります(第66条第4項)。自法人の寄附行為に沿ってスケジュールを組んでください。

ステップ7:所轄庁への提出(助成法第14条第4項)

補助金の交付を受ける学校法人は、毎会計年度終了後3月以内に、計算書類・附属明細書、翌会計年度の収支予算書に監査報告(会計監査人設置法人等は会計監査報告)を添付して、所轄庁に提出します。3月決算なら6月末が期限です。

ステップ8:情報の公表(第137条・第151条)

情報の公表は原則として努力義務(第137条)ですが、大臣所轄学校法人等(大学等を設置する法人のほか、知事所轄でも政令基準に該当する法人を含みます)は義務で、インターネットにより遅滞なく公表します(第151条)。財産目録等(財産目録・役員等名簿・報酬等の支給基準)も第107条により作成・備置き・閲覧の対象です。財産目録の作り方(第八号様式・記載例)は学校法人の財産目録の作り方で解説しています。

まとめ

  • 決算スケジュールの固定点は、会計年度終了後3月以内(作成・提出)と、定時評議員会の1週間前(招集通知・評議員への提供・備置き開始)の2つ。
  • 手続の順序は、作成 → 監査 → 理事会承認 → 評議員への提供 → 定時評議員会 → 提出 → 公表
  • 計算書類の承認は理事会の決議事項で、定時評議員会は報告・意見聴取の場(承認機関ではない)。

改正私立学校法・新会計基準そのものの全体像は、改正学校法人会計基準のポイントや、計算書類のとじ込み順序を扱った改正私立学校法・学校法人会計基準における計算書類のとじ込み順序も合わせてご覧ください。

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この記事を書いた人

学校法人の財務・経理に10年以上従事。予算・決算、資金運用、学費を担当。各法人が公開している計算書類・事業報告書をもとに、私学の財務を分析しています。

資格:日商簿記2級、FP2級、TOEIC L&R 920点
投資:インデックス投資中心に10年以上(投資信託・米国株・暗号資産)

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