2023年5月にはじめてのkeyball 44を使い、2024年6月にtorabo-tsuki(M)を使いだした筆者が、それらの分割キーボードについて比較します。
keyballとは
keyball とは白銀ラボさんが販売しているキーボードのことです。
keyballには keyball 39、keyball 44、keyball 61という3種類があり、それぞれの数字はキーの数を表しています。私が購入したkeyball 44はキーが44個のモデルです。
完成品の実物写真としては以下のとおりです。
torabo-tsukiとは
torabo-tsukiとはせきごん(@_gonnoc)さんの作成された、分割無線キーボードです。keyballと似ていますが、こちらは無線化がされており、乾電池(もしくはNi-MH電池)で使用できるものです。keyball 44と比べてtorabo-tsuki(M)はキーの数も3つ多いです。左下に2つ、右下に1つ多くなっています。
torabo-tsuki(S)とtorabo-tsuki(L)もあり、それぞれkeyball 39、keyball 61に近いキー配置になっています。ただtorabo-tsuki(L)はまだ製品として売られていません。「入荷お知らせメールを受け取る」で需要調査がされ、買いたい人が多くなれば製品として作られるようです。
torabo-tsuki(M)の完成品の実物写真としては以下のとおりです。
比較
keyball 44とtorabo-tsuki(M)の比較をしていきますが、まず結論を表で示すと以下になります。どちらにも良いところ、もう一歩なところがありますので、参考にしてみてください。
keyball 44 | torabo-tsuki(M) | |
---|---|---|
PCとの接続方式 | 有線 | 無線 |
キーボードの左右の接続 | TRS(3極)ケーブルまたは TRRS(4極)ケーブル | 無線 |
キーの数(親指部分も含む) | 44個 | 47個 |
親指キーの通常プロファイル化 | ||
トラックボール位置の微調整 (横方向) | ||
高さ(〜トッププレートまで) | 約1.3cm | 約1.7cm |
値段(税込) (Pro Microを含まないキット) | 24,800円 | 23,200円 |
別途必要なPro Microの値段 (USB Type-C) | 1,320円×2 | 4,950円×2 |
キースイッチやキーキャップなどコミコミの値段(私の場合。工具代は含まず) | 約37,000円 | 約40,000円 |
電源供給 | PCから(電池不要) | アルカリ乾電池 またはNi-MH電池 |
組み立て難易度 (はんだ付け) | ダイオードとPCBソケットなど50箇所以上 | 電池ケースと2個分とスライドスイッチ2個分のみ |
キーマップの変更 | Remap | Vial |
LEDの取り付け | ||
販売ページ | 販売ページ(白銀ラボ) | 販売ページ(BOOTH) |
端的な結論は以上の表のとおりですが、以下で、特筆すべきところをピックアップして補足していきます。筆者的に大きい部分順でピックアップしていきます。
PCとの接続方式・キーボード左右の接続方式
一番の違いはこれです。要は有線接続か無線接続かということ。keyballを愛用している人の中には
無線化してみたい、でも自作キーボード初心者なのでファームウェアの問題などkeyballを無線化するにはハードルが高い。。。
と思っている人も多いのではないでしょうか。私もそうでした。
torabo-tsuki(M)であれば、ビルドガイドの通りに作るだけで、無線化された分割キーボードを作ることができます。PCとキーボードの接続はもちろん、キーボード左右のペアリングも無線です。
組み立て難易度
次に大きいのは組み立ての難易度です。主にははんだ付けの難易度と言い換えてもよいでしょう。私は先にkeyball 44を作成していたので、torabo-tsuki(M)は非常に簡単に感じました。ただ、それでも曲がってはんだ付けしてしまったところもあったのでマスキングテープでの固定が必須だと思いました。
keyball 44の方が、はんだ付けする箇所が多くて、ちょっと難易度はあります。ただ、その分完成後の愛着はあります。またビルドガイドはkeyballの方が丁寧に作り込まれているので、思っていたよりも大変ではなかったです。もちろん手先の器用さは多少必要です。
キーの数
キーの数が地味に3個分違います。そのためマクロなどを設定して操作する分にはtorabo-tsuki(M)のほうが便利だと思いました。もちろんミニマリスト的感性、引き算の美学としてはkeyball 44のほうが良いというのも一理あります。
細かなカスタマイズ関係(親指のキースイッチ・LED・トラックボール微調整)
細かなカスタマイズの違いもあります。keyball 44はLEDの取り付けができますがtorabo-tsuki(M)はできません。私はLEDにあまり興味がないので問題ありませんでした。
またkeyball 44は親指をロープロファイルではなく、通常のプロファイル(キーの高さが高いもの)に変更することができますが、torabo-tsuki(M)はロープロファイルのみです。
torabo-tsuki(M)では、トラックボールの位置を横方向に微調整できます。これはkeyballにないメリットだと思います。
最後に、torabo-tsukiは基盤の下にBLE Micro Proを設置する分少し厚みが必要で、keyballと比べて0.4cmくらい高さが高くなっています。低いキーボードが好きな場合はkeyballのほうがよいでしょう。
キーマップ変更のツール
キーマップの変更ツールはどちらもWebサイトから行うことができます。keyballはRemap、torabo-tsukiはVialでキーマップの変更ができます。
個人的には、まだVialに慣れていないのもあり、Remapのほうがキーマップ変更やマクロの設定で使いやすい気がしています。ただ、オートマウスレイヤーやスクロールできるレイヤーの変更はVialのほうがやりやすいと感じています。
とりあえず、Vialに慣れていないので、Chat GPTに聞きながらキーマップを編集しています。生成AI便利。
その他
その他意外と人によっては気になるかもしれないのが、torabo-tsuki(M)のトラックボールケースから伸びる白いケーブルが、どうしても見えてしまう点です。
以下の画像の赤で囲った部分が、どうしてもちらっと見えます。
私も最初の組立時は気になりましたが、使っているうちに気にならなくなりました。
また、keyballはトッププレートと基盤の間にアクリルプレートを挟みますが、torabo-tsukiの場合はアクリルプレートがありません。
見た目とかの美しさ、ビルドクオリティという面ではkeyballのほうが優れている気がします。
最後に(どちらもよいキーボードです!)
さて、ここまでkeyball 44とtorabo-tsuki(M)の比較してきました。最後に筆者の好みも書いておこうと思います。現時点では、torabo-tsuki(M)は1ヶ月も使っていないという断りがありますが、やはり無線は最高です。keyball 44ではどうしてもケーブルが邪魔な場面がありました。
ただ、keyballのほうが見た目的には優れているように感じました。感性は人それぞれですので、気になる方はどちらも買って試してみましょう!笑