大学職員でも残業はある:10年分の残業データで見る部署と時期の振れ幅

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目次

まず結論

  • 同一大学・同一職員でも、年間残業時間は0時間〜480時間まで振れた(連続する10年分の実績)
  • 部署系統や時期によって、まったく別の働き方になる
  • 「大学職員は楽でホワイト」は一面でしか正しくない

「大学職員は楽で高給」という言説そのもののスタンスは、別記事大学職員は楽で高給って本当?【結論:比較対象によるし大学による】で書きました。本記事はその一次資料として、自分の10年分の残業実績データを公開するものです。


はじめに:自分でつけてきた残務時間Excel

私は社会人になってから、月ごとの残業時間を自分用のExcelに記録してきました。本記事ではそのうちの連続する10年分を抜粋して紹介します。集計の前提は以下のとおりです。ちなみにサービス残業はしていませんので、その点はホワイト(労基的にはそれが普通だけど)と言えます。

  • 対象:ある10年間(年順を①〜⑩で表記)
  • 単位:年度(4月〜翌3月)× 月別の時間外労働時間(h)
  • 出典:給与明細の超過勤務手当支給時間(所属組織の協定に基づく正規残業)
  • 注記:部署系統・具体業務名・正確な暦年は、本記事では特定回避のため伏せています

免責:これはサンプル数1(n=1)の個人記録です。同じ大学・同じ部署でも、担当者の業務スキルや要領、年次によって残業時間は大きく変わります。筆者自身、業務の進め方が未熟で必要以上に残業していた時期があった可能性も否定できません。「大学職員の残業の代表値」ではなく、「ひとつの実例として、こういう振れ方があった」という参考データとしてご覧ください。


10年分の年間残業時間の推移

10年分の年間残業時間の推移(労基法原則上限360hライン)

期別の傾向

期間状態年間残業
①〜④通常勤務(繁忙傾向)250〜480時間
⑤⑥通常勤務(閑散傾向)80〜190時間
⑦⑧業務量希少期0〜10時間
⑨⑩通常勤務(繁忙傾向)250〜320時間
  • 同じ「大学職員」という肩書のなかで、年間残業時間がほぼゼロの年と480時間の年を両方経験している
  • ①〜④の繁忙傾向期は、労働基準法の原則上限である年360時間(月45h×12)を超える年が3年連続(470時間/480時間/400時間)。これは36協定の特別条項適用領域での運用
  • 業務量希少期(⑦⑧)はほぼ完全に定時帰宅という極端な振れ
  • 通常勤務に戻ったあと(⑨⑩)も、再び繁忙傾向で増加トレンド

月別の典型パターン(繁忙傾向の年)

繁忙傾向の年における月別残業の典型パターン(労基法原則上限45hライン)

繁忙傾向の年(①〜④と⑨⑩)の月平均を取ると、典型パターンが浮かびます。

  • 年度始(4月):74時間:新年度業務の立ち上げ、前年度繰越処理
  • 年度末(3月):57時間:予算決算・年度末締め
  • 年度終盤(2月)・期央(9月):30時間前後、決算や補助金関連の動きがある月
  • 夏季(6〜8月):12〜19時間:どの部署もだいたい谷、最も穏やか
  • その他:月20〜25時間前後で安定

これは経理・財務系業務の典型パターンです。部署系統によって繁忙月の山は大きく変わるため、たとえば学生対応系(入試・教務・学生支援)であれば、入試期・履修登録期・卒業期に山が来る一方、年度末3月の山は経理ほど突出しないケースもあります。


労働基準法の上限規制と照らすと

労働基準法では、時間外労働は原則として月45時間・年360時間が上限です(労基法36条4項)。これを超えるには労使協定(36協定)に特別条項を付ける必要があり、特別条項を結んでも以下の枠は超えられません(労基法36条6項)。

  • 1か月:100時間未満
  • 複数月平均:80時間以内
  • 月45時間超は年6回以内
  • 年間:720時間以内

私の繁忙傾向期の年(470時間/480時間/400時間)は、いずれも原則上限の年360時間を超えており、特別条項の適用領域で運用されていたことになります。月別でも月90時間台に達した月があり、原則上限の月45時間を大きく超えています(チャートの月別パターンでも、4月・3月は45時間ラインを上回っています)。

特別条項の枠内には収まっていますが、「大学職員=定時帰り」というイメージとは別の現実が、自分の数字としても出ているわけです。


なぜ部署と時期でこんなに違うのか

10年分のデータから振り返って、振れ幅を生む要因は主に以下です。

  1. 業務の周期性:予算決算サイクル、入試サイクル、補助金申請サイクルなど、部署ごとに繁忙月の山が違う。同じ大学内でも部署が変われば月別パターンが別物
  2. 特定プロジェクトの存在:システム更改、規程改正対応、新制度導入など、年度をまたぐ大型案件があると、年間値が大きく押し上がる
  3. 部内人員規模と業務量のバランス:同じ業務量でも、担当人数で1人あたりの負荷が変わる。欠員や退職が出るとさらに変動
  4. 一時的な業務離脱の有無:通常業務から一時的に離れる事情があると、年間値が極端に下がり、繁忙↔閑散のサイクルが大きくなる

このうち、自分でコントロールできる要素は限定的です。どの部署に異動するかは人事決定であり、配属希望が必ず通るわけでもありません。

(ただし、現部署でしっかりと役割を全うしていけば、希望が叶う可能性はあります。なぜなら組織としては辞められることの損失が大きいからです。)


これから大学職員を目指す人へ

  • 「大学職員はホワイト」は一面でしか正しくない。部署と時期によっては民間並みの残業がある
  • 「楽な部署」「忙しい部署」は組織内で確かに存在するが、新卒〜中堅期は希望部署で配属される保証はない
  • 大学職員の働き方を判断するなら、平均年収・平均残業時間といったマクロ値ではなく、配属可能性のある部署のレンジで見るほうが実態に近い

転職を考えている方は、別記事大学職員は楽で高給って本当?も合わせてご覧ください。「ホワイト大学職員」を売り文句にした転職誘導に関する注意点も整理しています。


まとめ

  • 同一大学・同一職員の10年分で、年間残業時間は0時間〜480時間まで振れた
  • 「繁忙傾向年・閑散傾向年・業務量希少期」というカテゴリだけ見ても、明確な差
  • 月別では年度始(4月)と年度末(3月)が突出(経理・財務系の場合)
  • 労基法の原則上限(年360時間)を超える繁忙期が実在し、36協定の特別条項適用領域で運用される年がある
  • 「人による・大学による・部署による・時期による」が実態に近い結論

「大学職員」とひとくくりで語ったときの平均像と、個別の働き方は別物です。自分のn=1のデータでも、業界全体の振れ幅の片鱗は見て取れると思います。


合わせてご覧ください

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この記事を書いた人

経理・財務が10年以上の大学職員です。

資格:簿記2級、FP2級、TOEIC L&R 920点
投資年数:10年以上
投資対象:投資信託(主にインデックス投資)、暗号資産、米国株

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