はじめに
「学校法人職員が取るべき資格は?」という問いに対して、一般向けの情報は豊富にあります。しかし「学校法人職員として特に役立つ理由」を解説した情報はほぼありません。
私自身、財務部に配属された当初は業務の用語からしてわからないことが多く、「これは勉強しないとまずい」と思って簿記から手をつけました。その後FPも独学で取得し、TOEIC L&Rは920点までスコアを伸ばしました。業務をこなしながら取った資格ですが、「この3つを取っておいてよかった」と実感しています。

学校法人職員に役立つ資格はこれ、というものはないよ。部署によるよ。
このような主張もよくSNSで見かけますが、半分本当、半分誤りだと思っています。お金も英語も全く扱わない部署・業務なら本記事の資格はいらないかもしれません。しかし財務・経理部署はもちろん、それ以外の部署でもお金や英語に関することは多少なりともあるはずです。
学校法人という特殊な職場環境を前提に、本当に役立つ資格を3つ紹介します。
簿記・FPを社会人一般の視点から知りたい方は、こちらの体験談記事もあわせてご覧ください。
資格①:日商簿記(3級以上)
学校法人職員としての有用性
簿記の知識は、財務・経理部署以外でも直接役立ちます。
- 財務・経理部署:学校法人会計基準の基礎は一般簿記です。基本金の組入れ・引当金・減価償却といった処理も、簿記の知識があれば理解が早い
- それ以外の部署:予算管理や経費申請のチェックに役立ちます。「なぜこの支出は別の科目にしなければいけないか」が理解できるようになる。少なからず、物品を購入申請することはあると思いますが、その際にどのような科目にするかわかったり、財務・経理部署から誤りを指摘されにくくなったり、指摘されても意思疎通がしやすくなったりします。
また、将来的に転職を検討する場合、簿記は学校法人・民間企業・公的機関を問わず「最低限の会計知識は持っているな」と判断される資格です。(ただし、高いプラス評価を受けるわけではありません)
どのレベルを目指すか
| 級 | 内容 | 対象 |
|---|---|---|
| 3級 | 簿記の基礎・個人商店レベル | 財務関連部署の新任職員。まず最低限これから |
| 2級 | 法人の会計処理・工業簿記を含む | 財務担当として専門性を示したい人 |
| 1級 | 税理士試験の受験資格にもなる高難度 | 学校法人会計の深い理解を目指す人 |
3級は合格率約50%前後と入門しやすい水準ですが、まったく勉強せずに受かるものではありません。2級は工業簿記が入るためやや難易度が上がりますが、独学で合格可能です。
私は「会計の基礎がある証」「転職の保険」として2級を取りました。製造業で必要な工業簿記を大学職員が使う機会は少ないですが、管理会計を考えたり会計全体の理解が深まる価値がありました。
学習法
2級までは市販のテキストと問題集で独学可能です。TACや大原のテキストが定番です。それ以外でもわかりやすいテキストが多くあります。
私は以下を使いました。
1級は難易度が高く、独学より予備校の活用を検討する価値があります。
資格②:ファイナンシャル・プランニング技能士(FP)
学校法人職員としての有用性
FPは「お金の総合的な知識を体系的に学べる」資格です。学校法人職員に特に役立つ理由は2つあります。
1. 業務上の知識と直結する
FPが扱う税金・社会保険・年金の知識は、人事・給与計算・福利厚生業務と直接リンクします。法人税・消費税や、資金運用の基礎もFPで学べます。
2. 自分自身の資産形成に役立つ
学校法人職員は雇用が安定しており退職金制度もあることが多いかと思います。その安定収入をどう管理・運用するかを考えるとき、FPの知識が実践的に活きます。NISAの使い方・保険の見直し・年金の受け取り方など、FPで学ぶ内容はそのまま自分の人生設計に使えます。
カバーする知識領域
- ライフプランニングと資金計画
- リスク管理(保険)
- 金融資産運用
- タックスプランニング(税金)
- 不動産
- 相続・事業承継
どのレベルを目指すか
3級:基礎知識の整理に。6科目を幅広く学べるため、「お金の全体像を掴む」ためだけでも価値があります。
2級:実践的な知識と、AFP資格との連動で就職・転職市場でもやや評価されます。
まずは3級から始めて、2級まで取得するルートが現実的です。FPは学習内容が実生活に直結するため、資格取得のための勉強という感覚よりも「読んで役立つ本」に近い感覚で学べます。
私が使っていたテキストは以下です。
資格③:TOEIC Listening & Reading(700点以上)
学校法人職員としての有用性
大学を設置する学校法人では、英語を使う場面が増えています。
- 外国人留学生の窓口対応
- 外国人教員とのやり取り
- 海外大学との協定関連業務
- 英文書類・契約書の確認
大学によるとは思いますが、大規模大学でも部署によっては英語ができる事務職員は、正直そんなに多くないのが現状です。中規模以下の学校法人では英語対応できる職員が数人しかいない場合も多く、TOEIC 700点以上を持っていると業務の幅が広がります。
スコアの目安
| スコア | 業務上のイメージ |
|---|---|
| 〜600点 | メールを読んで意味は大体わかる。書くのはまだ難しい |
| 600〜700点 | 簡単な英文メールを書ける。窓口対応は資料を使えばなんとかなる |
| 700〜800点 | 英文メール・窓口・電話対応でほぼ対応可。自分で英文を書ける |
| 800点〜 | 英文書類の作成・チェックも自信を持ってできる |
最低目標は700点、理想は800点以上です。加えて英会話(スピーキング)もできると更にプラスです。
学習法
TOEIC対策は、自身の英語力の現在地によって異なります。大学受験や大学の授業で英語を受けていて、とりあえず早く700点を取りたいという場合、公式問題集の反復が最も効率的です。間違えたところの単語や文法をしっかり復習すれば、700点に必要な単語・文法は身につくと思います。あとはTOEICの解き方のテクニックで700点は取れる印象があります。
人によっては800点もそれで取れます。
900点以上を取るにはもっと単語や文法を仕上げて、オンライン英会話で耳を鍛える必要があります。私が900点を取るためにやったことは以下にまとめています。


オンライン英会話(【Cambly(キャンブリー)】
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TOEICだけでなく業務でも使える英語としてもオンライン英会話は必要です。
なお、生成AI(Gemini・Copilot・Claudeなど)を活用すれば英語力が足りない間も英文業務を補うことができます。AIで今日の業務をこなしながら、TOEICで英語力を積み上げる両輪のアプローチがおすすめです。
3つの資格の優先順位
所属部署や現在の業務内容によって異なりますが、財務・経理部署の方を想定して私がアドバイスするなら推奨順は以下の通りです。
- 簿記3級(財務・経理に関わる部署なら最優先)
- FP3級(税務の基礎、資産形成への関心があれば次に)
- TOEIC 700点以上(英語対応の機会があれば並行して)
- 簿記2級
- FP2級
- TOEIC 800点以上
以上、学校法人職員におすすめの資格3選でした。どれも業務に直結しますし、自分の人生設計にも役立つので、まずは簿記3級から手をつけてみるのがおすすめです。








