ここ近年、巷ではよく「大学職員は楽で高給」という意見が、Xなどで散見されます。私が大学職員関係の人の投稿をよく見ているせいかもしれませんが、「楽で高給」と謳って、大学職員への転職を勧める人がいるみたいです。
結論言ってしまうと、結局、「銀行は高給!」「公務員はまったり」とか言うのと同じで、そんなん人によるでしょって感じです。また、それぞれ適性もあるし、それぞれ悩みもあるわけです。
以下、4つの観点から整理します。
- 大学職員が楽で高給というのは本当か
- 「楽で高給」を喧伝する人の内情
- 「楽で高給」の根拠データの信頼性
- 大学職員の働き方のリアル(ノルマ・人間関係)
前提
私は新卒で大学職員になり、他の企業で働いた経験もなければ、他の大学で働いた経験もありません。
だから、「楽で高給は違うんじゃない?」と私が言ったとしても、それもまたサンプルn=1であることは否めません。
しかし、一例ということで、私が実際に働いた経験も踏まえつつ書いていこうと思います。
楽で高給というのは実際どうか。本当なのか。
結論:比較対象によるし大学による
例えば、いわゆるブラック企業に勤めていて、毎日終電で帰るくらいなのに、残業代がつかない(つけられない)という人からしたら、「楽で高給」と言える可能性が高いです。
また、省庁に勤めていて、国会対応に忙殺されていた方からしても同様かもしれません。
民間企業や、公務員として非常に多忙で鬱の一歩手前だったり、すでに鬱病となっている方からしたら、楽で高給に映る大学はそれなりにあると思います。どれくらいあるのかは見当もつきませんが、それは否定しません。
でも、そういった人の転職経験から帰納的に「大学職員は楽だよ」「みんな転職すればいいよ」と言えるのかは疑問です。民間企業より大学職員の仕事が苦痛な人もいると思います。
「大学職員は」と主語を大きくして主張する人がいますが、結局仕事の適性や大学によるでしょって話です。
以下では、この結論に至った周辺情報を補足します。
一般的なサラリーマンの平均年収との比較【データどこ】
平均年収は約478万円です。(出典:国税庁 令和6年分民間給与実態統計調査結果-調査結果報-、令和7年9月発表)
対して、私立大学職員の平均年収は、、、、と思って調べたのですが、確かな出典を書いた記事は見つかりませんね。「日本私立学校振興・共済事業団によると734万円」とか書いてあるネット記事はありますが、何年に行われた何という調査なんでしょうか。閲覧したいので、どなたか教えていただますと幸いです。
なお、私立学校振興・共済事業団の数字の出典は確認しきれていませんが、給与体系の構造(基本給・諸手当・私学共済の退職金)と、その特徴を踏まえた資産形成の考え方は別記事「学校法人職員の給与・退職金の特徴と資産形成への活かし方」で整理していますので、合わせてご覧ください。
残業時間の一例
私の場合、新人〜中堅期に年400時間を超える残業をしていた年もあれば、ほぼゼロに近い年もありました。10年分の連続データと月別パターンを別記事「大学職員でも残業はある:10年分の残業データで見る部署と時期の振れ幅」で公開しているので、合わせてご覧ください。
「定時帰りで楽々」と言っているブログが多々ありますが、そうではない部署(人)もありますからご注意ください。
楽で高給と言って人を集めれば得をする人たち
「大学職員は楽で高給」ということを広めて得をする人たちがいます。
それは、ブログに転職サイトのアフィリエイト(広告)を貼っている人です。
彼らは、自分のブログから転職サイトのリンクに飛ばせて、転職サイトに登録させることで、広告収入を得られるのです。
もちろん彼らが、本当に「楽で高給」な大学や部署にお勤めだから、勧めているというのもあるかもしれませんし、本当に、紹介している転職サイトでは大学職員の募集情報が充実していてオススメなのかもしれません。
募集に対してエントリーするために、転職サイト経由でないとエントリーできない大学があることも理解しています。
ちなみに彼らのブログ記事は大体以下のような流れです。
「私大職員は年収が高いし仕事が楽。何も役職に就かなくても1,000万円を超えます」
↓
「平均年収ランキングはこれです」(←これが出典を正しく明記していない)
↓
「楽で高給のホワイト業種、大学職員への転職がオススメです」
↓
「大学職員の転職に便利なのは、この転職サイトです」(←これが広告)
大体このように、読者に転職を勧める内容となっています。
主張の中身はさておき、マーケティング・マネタイズ設計の構成としては参考になる面もあります。
本ブログでは転職サイトの広告は貼っていませんが、Google AdSenseという、読者それぞれへの自動広告があり、転職サイトの広告が表示される場合があります。
そのデータって本当なんですか?
就職先としての大学職員についての情報は少ないと感じます。だから一部の人たちの主張が存在感を増してしまうのかもしれません。でもその情報って本当?ってちょっと思ってしまうことも少なくないです。
ネット情報から孫引きだったり、ひ孫引き、玄孫引きで書いてある記事とかひどいですよね。情報が少ないからこそ、しっかりとした出典に当たらなくてもばれないのか、何なのか。少ないサンプルサイズで、帰納的に言ってることもあります。
よくインターネットで出ている、大学職員の年収ランキングですが、信憑性ってどうなのでしょう。以下で、参考になる投稿(X)をご紹介します。
上記の方は、ポケットマネーで組合の資料を購入して、内容を確かめたそうです。その資料の表紙の写真もアカウント名のクレジットを入れて、Xに投稿されていました
私もデータの出典を明らかにしていないブログ記事は、信憑性に書けると考えています。
もちろん楽で高給な大学もあれば、全然そうでない大学もあるでしょう、という話であって、全否定をするつもりはないのですが、根拠として示すデータなら出典はしっかりね。という話。
以下のようなニュースもありましたし、大学職員=安泰と一概には言えなさそうですね。
https://www.sankei.com/article/20200805-EDYQFBAGRVMOZBROFJ2VM5IKIU/
「楽」とされる側面の検証:ノルマと人間関係
冒頭で「データの出典が大事」と書いた手前、ここからは定性的でソースの弱い情報も含むことをお断りしておきます。それでも、業界で見聞きすることとして紹介する価値はあると考えています。
たとえば、私の友人の友人で、ネットの私大職員年収ランキングのトップ10に入る私大に勤めている人がいますが、入試担当部署で激務が続き、体調を崩しがちで激痩せした、という話を聞きました。
また別の、年収ランキングのトップ10に入る大学では、給与制度が変わり、昔のように役職なし(ヒラ職員)の人が年収1,000万円に届く、ということは難しくなったという話もあります。
「楽な大学」とくくられがちな上位ランキング大学でも、部署や時期によっては激務が発生し、給与制度も変化していくということは、頭に入れておくと良いと思います。
確かにノルマはないに等しい
大学職員が楽という言説の理由として、「営業ノルマ・売上ノルマがない」ということが言われていますが、これは確かに合っている大学が多いかもしれません。
(現時点で)定員充足率が十分な大学であれば、そこまで過度に法人の運営・経営に切羽詰まってないからです。そこが厳しい大学であれば、高校への訪問数だったり、進学相談会での来場者数だったりに目標なりノルマが設けられてもおかしくないのでは、と個人的には思っています。
その他に、寄付金や資産運用では予算という目標はあります。ただ、私の大学の場合、達成できなくて、すごい詰められる(怒られる)というほどではありませんでした。おそらく、短期的な考えで、無理に寄付を募ったり、リスクを上げて運用をして、仮に予算を達成できても、単年度の決算がよくなるだけで、それ以降が続かないからです。
人間関係のトラブル
私の大学では、人間関係で休職したり、辞めていく人がいました。問題のある上司や同僚もたまにいます(これは大学に限ったことではないと思いますが)。
民間企業で言う売上(または利益)をアップさせるという全社的でわかりやすい目標がないため、意識が外よりかは内に向きやすいのではないかと、私は推測しています。
教育・研究でよい成果を上げるといっても指標は様々です。大学ランキング?補助金獲得額?研究成果の引用数?卒業生の就職実績?
(これらをうまくまとめて、教職員に周知し、全学的に団結して進ませるのが、経営陣だったり、経営企画室の人たちの手腕だと思います。)
最後に
以上、巷で言われる「大学職員は楽で高給」は、結局のところ「人による・大学による」というのが私の結論です。やや身も蓋もない話ですが、これが実情だと感じています。
ただ、やみくもに「大学職員は楽で高給ですよ」といって転職を勧めるブログには注意です。ブログの書き手がそう感じていても、みんながみんなそうは感じませんしね。適性もあります。
大学職員への転職を考えている人は、実際の入りたい大学の職員にOB訪問のような感じで、話を聞くのがいいと思います。(大学時代の友達なり、サークルの知り合いなり、Xで探すでもいいし、使えるツテを最大限使えばできるのではないかと思います。)
なお、入った後にどう評価されるか・どんなスキルが求められるかという観点では、別記事「学校法人職員におすすめの資格3選:簿記・FP・TOEIC」で整理しています。「楽そう」というイメージとは別に、業務上で実際に求められるスキルの現実を知る一助になればと思います。
逆方向の話、つまり大学職員から民間企業への転職活動については、別記事「大学職員でも大手企業から内定はもらえる:それでも辞退した理由」にまとめています。実際に大手企業から内定をもらった上で、なぜ辞退したかまで含めて書いていますので、合わせてご覧ください。
関連記事


それでは、私のような経理・財務系の大学職員がどんなことをしているか、という点については以下の記事で紹介していますので、よろしければご覧ください。



