野村證券のチーフエコノミストによる、金利の入門書です。
金利とは、お金を貸したとき、元手から余分に生まれるものであり、危険に対する保険料であり、物の値段の変化調整をするものであり、飴と鞭です。
中央銀行は、短期金利(政策金利)をオペレーションによって動かします。日本で言えば、「無担保コール翌日物金利」といいます。アメリカのFRBではFFレート、欧州のECBでは主要ファイナンス金利です。
銀行間市場には基準金利があります。ロンドン銀行間貸出金利のことLIBOR(ライボー)といいます。3ヶ月円ライボーだったら、ロンドン市場で円を3ヶ月貸す時の金利です。
他にもTIBOR(東京), HIBOR(香港), EURIBOR(欧州), SIBOR(シンガポール)があります。
2016年1月から始まったマイナス金利とは、日銀当座預金の一部にマイナス0.1%の金利をつける、つまりは手数料を取るものです。そうするとどうなるか、銀行は日銀に預けたくなくなります。お金が市場に多くなるので、貸出金利は低くなります(供給が増える、金利低くていいから借りてほしい)。また、リスクが低い国債を買ったりします。そうすると、国債を欲しい人が増え、債券価格が上がり、国債の利回り(金利)は低下します。
そしたら今度は短い期間の貸出金利や、短い期間の国債では、金利がつかなくなります。そして、中期長期の貸出金利や、国債の金利も下がるのです。
日銀は、長期金利(10年国債の利回り)を誘導するために国債を大量に買い入れています。2016年9月から長短金利操作付きイールドカーブコントロールと言っています。これの出口論も注目が集まっていますが、結局は日銀のBSが悪化し、国民が負担することになる、というようなことを言っています。
本書は金利について非常にわかりやすく書かれていました。有価証券による運用をしている人はもちろん、大学生などにもためになる本ではないかと感じました。