暗号資産(仮想通貨)を始めようと思ってYouTubeやブログやWebサイトから情報を集めていると次のようなことがよく言われていませんか?

A社とかB社の「販売所」は手数料高すぎ。「取引所」で板取引をやるべき。

手数料が安い暗号資産(仮想通貨)取引所としてはC社がおすすめです
Coincheck(コインチェック)、bitFlyer(ビットフライヤー)、GMOコインなどが有名で、よくいろいろなブログや暗号資産(仮想通貨)関連のWebサイトで勧められています。
しかし、それらのWebサイトを見ても

結局、どこの暗号資産(仮想通貨)取引所で始めればいいのかわからない
と思うことはないでしょうか。
巷の多くの記事ではスプレッド(販売所における実質的な手数料)が狭い(安い)と言われていても、具体的な数字で書かれていないことが多いです。たぶん大人の事情とかで取引所への忖度があるのではないかと思い、この度自分でいろいろ調べてみたので、その結果を共有します。
本記事を読めば手数料はもちろん、どの国内取引所がどの点で良いのかがわかります。それぞれの長所・短所を忖度なしで比較します。スプレッドも、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の具体的数値で比較しています。
比較対象
本記事ではCoincheck、bitFlyer、GMOコイン、bitbankを比較しています。
ちなみに私はbitFlyer、GMOコイン、bitbankの口座を持っています。正直、Coincheckはあまり魅力的に感じていません。あとDMMビットコインも有名ですが取引所がない(板取引がない)ので除外しています。
比較結果
それでは早速結論として、バランス良く一番手数料が安いのは、GMOコインでした。
その他もろもろも箇条書きにしてみます。
- 取引所の取扱通貨が多いのはbitbank(29種類)
- 販売所の取扱通貨が多いのはbitbank(29種類)
- 合計取引通貨が多いのはbitbank(29種類)
- 販売所のスプレッドが狭いのはGMOコイン
- 日本円の入出金手数料が低いのはGMOコイン
- 顧客の暗号資産を100%コールドウォレットで管理しているのはGMOコイン・bitbank
- 積立サービスが一番便利なのはCoincheck
手数料以外でも、取扱通貨数、積立サービス、セキュリティを勘案して、一番バランスがよかったです。
ここから、具体的に基本情報や取扱通貨等、販売所のスプレッドの比較を見ていきたいと思います。
基本情報・取扱通貨・手数料等
以下、表で比較していきます。(2023年1月30日時点の情報です)
業者名 | Coincheck | bitFlyer | GMOコイン | bitbank |
---|---|---|---|---|
資本金 | 3億 8,500万円 | 41億 238万円 (資本準備金含) | 37億 5,800万円 (資本準備金含) | 86億 4,209万円 (資本準備金含) |
親会社 | マネックスグループ 株式会社 | 株式会社 bitFlyer Holdings | GMOインターネット 株式会社 | − |
「取引所」 取扱通貨 | 6種類 BTC ETC MONA PLT LSK OMG | 7種類 BTC ETH XRP XLM MONA ETH/BTC BCH/BTC | 22種類 BTC ETH XRP BCH LTC XEM XLM BAT OMG XTZ QTUM ENJ DOT ATOM XYM MONA ADA MKR DAI LINK FCR ASTR | 29種類 BTC ETH XRP BCH LTC LINK QTUM OMG BOBA MONA BAT XLM XYM MKR ENJ MATIC DOT DOGE ASTR ADA AVAX AXS FLR SAND APE GALA CHZ OAS MANA |
「販売所」 取扱通貨 | 17種類 BTC ETH XRP ETC LSK XEM LTC BCH MONA XLM QTUM BAT IOST ENJ OMG SAND DOT | 21種類 BTC ETH XRP ETC LTC BCH MONA LSK BAT XLM XEM XTZ DOT LINK XYM MATIC MKR ZPG FLR SHIB PLT | 20種類 BTC ETH XRP BCH LTC XEM XLM BAT OMG XTZ QTUM ENJ DOT ATOM ADA MKR DAI LINK DOGE SOL | 29種類 BTC ETH XRP LTC MONA BCH XLM QTUM BAT OMG XYM LINK MKR BOBA ENJ MATIC DOT DOGE ASTR ADA AVAX AXS FLR SAND APE GALA CHZ OAS MANA |
合計 通貨数 | 18種類 | 21種類 | 23種類 | 29種類 |
積立 サービス | ◎ (口座振替OK) | ○ (口座振替NG) | ○ (口座振替NG) | × |
「取引所」 手数料 | Maker 0.000 % Taker 0.000 % | BTC・XRP・ETH XLM・MONA: 約定数量 × 0.01 ~ 0.15% ETH/BTC・BCH/BTC: 約定数量 × 0.2% | BTC, ETH, XRP Maker -0.01% Taker 0.05% その他の通貨 Maker -0.03% Taker 0.09% | Maker -0.02% Taker 0.12% ※キャンペーン等 一部銘柄は異なる |
「販売所」 手数料 | 取引手数料 無料 手数料相当額(スプレッド) 0.1〜5.0% (カバー先又は当社取引所の 価格に対して) | 取引手数料 無料 スプレッドを負担 (率は未開示) | 取引手数料 無料 スプレッドを負担 (率は未開示) | 取引手数料 無料 スプレッドを負担 (概ね3%の範囲内。 ただし相場状況等に より超過する場合有り) |
日本円 入出金 手数料 | 銀行振込入金:無料 (振込手数料は自己負担) 出金:407円 | クイック入金 (住信SBI):無料 クイック入金 (住信SBI以外):330円 出金(三井住友銀行): 220円 or 440円 出金(その他の銀行): 550円 or 770円 | 即時入金:無料 (即時入金の対象銀行9行) 出金:無料 ※2,000万円以上の出金: 400円 | 銀行振込入金:無料 (振込手数料は自己負担) 出金: 550円/ 770円(3万円以上) |
暗号通貨 入出金 (送付) 手数料 | 入金:無料 出金: ビットコイン 0.0005BTC イーサリアム 0.005ETH その他も有料 | 入金:不明 (Webで見つけられず) 出金: ビットコイン 0.0004BTC イーサリアム 0.005ETH その他10通貨 有料 3通貨 無料 | 入金:無料 マイナーに支払う手数料は顧客負担 出金:無料 | 入金:無料 出金: ビットコイン 0.0006BTC イーサリアム 0.005ETH その他も有料 |
手数料 参照ページ | Coincheck 手数料 | bitFlyer 手数料一覧・税 | GMOコイン 手数料(入出金・取引) | bitbank 手数料/ 契約締結前交付書面 |
顧客資産の コールド ウォレット 保管割合 | 記載なし (参照ページ1) (参照ページ2) | 約100% (参照ページ) | 100% (参照ページ) | 100% (参照ページ1) (参照ページ2) |
セキュリティ 関係ランキング 受賞歴 | − | Sqreen社による 世界140の仮想通貨 取引所を対象にした 調査でセキュリティ No.1 (2018年1月発表) | 「2021年 オリコン 顧客満足度調査 暗号資産取引所 現物取引」で総合1位、 セキュリティ項目も1位 (2021年4月発表) | ICORatingが実施する 取引所セキュリティ レポートで国内No.1 (2018年10月発表) |
販売所のスプレッド比較
次に、販売所の取引におけるスプレッドを比較していきます。
bitbank以外の3社は積立サービスを提供していますが、その際は販売所価格で積立がされます。
よく「販売所の手数料は無料です」と言われていても、購入価格と売却価格の差であるスプレッドというものがあり、それが実質的に手数料となっています。多くの暗号資産(仮想通貨)比較のサイトではスプレッドを具体的に数字で比較していない場合が多いです。(大人の事情?)
そこで、具体的に数字がわからない部分は自分のアカウントで確かめてみました。Coincheckのみ販売所のレートを公開しているWebページがあったので、そこから数字を持ってきました。
とりあえず、時価総額が最も高く、各社どこでも取扱のあるビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)の販売所価格を調べてみました。その結果が以下の表です。

注意点として、スプレッドは相場の状況(需給の状況や乱高下など)により変動するものなので、このスプレッドがいつも適用されているわけではありません。私が調べた時点では上記の表のような値でしたが、タイミングによってはCoincheck、bitFlyer、bitbankのスプレッドが一番狭くなる可能性もゼロではないと思います。
もちろん一例として参考になります。今回はGMOコインのスプレッドが一番狭いという結果になりました。
ちなみに、最も流通しているトップ2通貨でこのスプレッドなので、これ以外の通貨(アルトコイン)ではさらにスプレッドが広いと予想されます。
それぞれの強み弱み
ここまでの比較表から強み弱みを簡単にまとめると以下のようになります。一部、表に入れていなかった情報も含めています。
Coincheck
bitFlyer
- セキュリティ対策に力を入れている(参考:bitFlyerのセキュリティ)
- 国内ビットコイン取引量が6年連続1位(=取引所の板取引で約定しやすい)
※ Bitcoin 日本語情報サイト調べ。国内暗号資産交換業者における 2016 年 〜 2021 年の年間出来高(差金決済 /先物取引を含む) - Braveブラウザで暗号資産(BAT)を貯めることができる
- ビットコインが貯まるクレジットカードも発行できる
- 取引所での手数料が最低0.01%かかる
- 販売所のスプレッドが広い(2022年2月5日21:17〜21:29頃時点)
- 口座振替で暗号資産(仮想通貨)積立はできない
(ただ住信SBIネット銀行や楽天銀行の自動振込サービスを使えば解決できる) - 日本円出金手数料が高い
GMOコイン
- 販売所の取扱通貨が多い(20種類)
- 日本円入出金手数料が安い(無料)
- 暗号資産入出金手数料が安い(無料)
- 販売所のスプレッドが狭い(2022年2月5日21:17〜21:29頃時点)
- 顧客資産は100%コールドウォレット保管
- 口座振替で暗号資産(仮想通貨)積立はできない
(ただ住信SBIネット銀行や楽天銀行の自動振込サービスを使えば解決できる)
bitbank
- 取引所の取扱通貨が多い(29種類)
- 合計取扱通貨が多い(29種類)
- 取引所の手数料(Maker)が安い
- 顧客資産は100%コールドウォレット保管
- 暗号資産(仮想通貨)積立のサービスがない(取引所の取扱通貨が多いので手動積立するなら問題ないが)
- 日本円出金手数料が高い
最後に
以上、日本国内大手の暗号資産交換業者(仮想通貨取引業者)の比較でした。巷にあふれるオススメ取引所は、なんでCoincheckばかりなのか不思議です。ちなみに、私は580億円の流出事件のイメージが頭から離れないことと、セキュリティ対策のアピールにあまり力が入っていないように見える(対策自体ではなくあくまでアピール度合いです※)ことから「うーん、なんだかなぁ」と思っている状況です。
※マネックスグループの傘下に入り、当然ながらセキュリティ対策はしっかり行っているはずです。
今回、「販売所」の手数料比較にフォーカスを当てましたが、一番手数料がかからないのは、「取引所」で売買を行う場合です。それと比べると販売所は実質的な手数料が高いと言えますが、販売所でしか取り扱っていない通貨というのもあります。販売所を使う場合、どの暗号資産交換業者を使うのがいいのかは、よく調べた方がいいでしょう。
私は、
という使い分けをしています。
なお、Braveについては以下の記事をご覧ください。
また、GMOコインでの積立については以下の記事をご覧ください。