先日以下のような記事を書いたのですが、その後給付をする大学が増えましたね。今や調べるのが大変なので、どの大学が支援を決めたかというのは調べていません。
https://piroself-investment.com/shujitsu-meijigakuin-kyufu/
そんな中、5/1Yahoo!ニュースに以下のような記事が出ましたので、ご紹介しておきます。
石渡嶺司さんは大学ジャーナリストとして、よく本や記事を書いているので界隈の人には有名かと思います。個人的に良いと思ったのはICUの学長からのメッセージの話です。私は、Twitterでフォローしている人からのリツイートかなんかでこの記事より読んだのですが、さすがというか良いメッセージだったと思います。
(メッセージ原文がわかる「あべまおこ」さんのnote記事はこちら:「話してもわからん」をひっくり返したある日の学長からのメール)
また5/5に総長名義で早稲田大学も学費に関する考え方を載せました。
やはり、学長や理事長(両方を兼ねて「総長」がいる場合もあり)の名義で学費についての説明を載せることは、学生・保護者にとっても窓口対応をする職員にとっても非常によいことでしょう。もちろん、納得できる内容であることが前提ですが。
事務室の担当者レベルで、「学費の減額はありません」「うちの大学の場合、給付金はありません」という説明を日々行うのはなかなか骨の折れる作業です。(電話対応で他の業務が圧迫されている大学もありますよね。学費だけじゃなく遠隔授業についても)
やはり、元会計・経理の人として気になったのは、支援の金額規模でしたが、最大で基本金組入前当年度収支差額の半分強という感じでしたね。もちろん非常に凄いことです。
財源として、基本金を取り崩すという案をTwitterで見かけましたが、それはできるのでしょうか。
文科省のリンク:
文部科学省 3.基本金の取崩し
文部科学省 学校法人会計基準の一部改正について(通知)
公認会計士協会のリンク:
基本金に係る実務上の取扱いに関するQ&A
上記では
第31条第4号の「やむを得ない事由」とは、地方公共団体等による土地収用の場合など、学校法人の自己都合による資産の処分ではなく外的要因によるものが該当するものであること。
と書いてあります。学生への支援をするというのは「学校法人の自己都合」なのでしょうか「新型コロナウイルスという外的要因」なのでしょうか。まぁ、大元の原因は新型コロナウイルスで、世界的にも大きな影響が出ているので、後者としてもよさそうですね。
(注:文科省や公認会計士に照会したわけではありませんので、実務担当者の方はよくご確認ください)
私の勤務する大学では「第3号基本金(基金)は奨学金・研究補助を廃止したり規模縮小するときしか取り崩すことはできない。(もちろん理事会・評議員会の決裁)」という感じでした。なので、コロナ禍の支援として、「その他やむを得ない事由」とみなして取り崩すというのは、やらなそうな気がします。
そもそも、寄付を基金に組み入れている部分もあるので、基金の目的、寄付者の意向から外れてしまう可能性もあるわけです。(生活に困窮した学生のための奨学基金なのに、全員一律に給付する財源とするために取り崩していいの?とかね)
あとは、第2号基本金の組入計画や第3号基本金の組入計画を見直して、2020年度決算で「基本金組入額合計」を減らす(もっと緩やかに徐々に組み入れていく)方策もあるかもしれません。第4号基本金を取り崩すのもありですね。ただ、その場合も今後また第4号を積み上げていく予定について考えないといけません。この辺はすべて、学校法人として理事会・評議員会マターになるかと思います。
会計・経理の方々の苦労は絶えないですね。もちろん教務系の方もオンライン授業関係で消耗されていることと思います。ご体調崩されませんように。
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