大学職員向けの、財務関係記事を書き出しましたが、早くもネタ切れ感が出てきました。苦笑
そこで、自分に資産運用担当の後輩(全くの初心者)がいたら、どう教えるかという視点で書いていきます。
今回は、資産運用基本知識(セオリー)です。大学向けと標榜しつつ個人投資家にも役立つ部分はあるかと思います。
私が業務で資産運用をやるにあたって、上司に言われたことです。
金利・為替・株価
少しでもニュースを見る方は、「日経平均株価」「NYダウ」「ドル円」などの単語を聞いたことがありますよね。
これらは市況を見るための指標です。以下に、主なものを載せてみます。
株価の指標
株価の指標は主に国ごとになっています。
日本
- 日経平均株価
- 東証株価指数
- JASDAQ
アメリカ
- NYダウ
- Standard and Poor’s(S&P)500
- NASDAQ
イギリス
- FTSE
その他にも様々あります。以下でロイターのページを載せておきます。
https://jp.reuters.com/markets/world-indices/
為替の指標
為替とは外国為替のことであり、いわゆる通貨の交換(両替)ルートをイメージしてもらえばよいと思います。
- ドル円(UDSJPY)
- ユーロ円(EURJPY)
- 豪ドル円(AUDJPY)
各国の通貨を比較するものであり、「ドル円(USDJPY)が112円」は1ドル=112円ということです。
ちなみに各国の通貨をアルファベット3文字で表現します。
日本円→JPY
アメリカドル→USD
ユーロ→EUR
オーストラリアドル→AUD
ニュージーランドドル→NZD
インドルピー→INR
メキシコペソ→MXN
などとなります。
金利の指標
- 日本10年金利
- アメリカ10年金利
これらは、いわゆる「長期金利」と言われ、10年もの国債の利回りを表しています。国債の価格が上がると金利が下がり、価格が下がると金利が上がります。
以下、参考としてSMBC日興証券のページを載せておきます。
https://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/chi/J0109.html
金利の詳しい説明をしようとすると一記事できてしまいますので、詳細は今日は割愛します。
さて、以上の株価・為替・金利が、金融マーケットでは影響し合っています。
どれが重要か
基準に考えるのは金利となります。これは各国の中央銀行が、金利をコントロールしようと金融政策を行っていますし、大学のような機関投資家は、債券運用がメインになっているためです。
次に、金利が上がる/下がると、株価と為替にどのような影響があるか見てみましょう。
これは、セオリーとしての動きになりますので、現実世界ではこの通りにならないこともままあります。しかし、セオリーを押さえておくことで分散投資を考えたりする時に役立ちます。
日本の金利が上がったとき・下がったとき
金利が上がると、その国の通貨建て国債の利回りが高くなるわけなので、その通貨にお金が集まります。つまりその通貨が多く買われることで、その通貨高(例えば日本なら円高)となります。
ただ、日本企業は輸出企業が多いため、外国で製品を売る際に円高で売るより、円安で売った方が、日本円で多くの売り上げが得られます。そのため、円高は日経平均株価に対してマイナスの影響を与えます。(株安)
また、金利が上がるということは、債券の利回りが上がるので、比較的リスクの高い株より、比較的安全な債券に乗り換える人も出ます。そして株安となります。
まとめると、金利上昇→通貨高→株安となりやすいと言えます。
逆に金利低下→通貨安→株高とも言えます。
ただ、株を見る時、業界を気にすると、銀行業界は金利低下で、株価安となります。これは日銀の政策などで金利が低くなると、預金者から預かる金利と、企業へ貸し付ける金利の差が小さくなり、銀行の経営を圧迫するためです。低金利政策下で、銀行の株価は低迷していますよね。
(参考書籍)

どのような時に金利が動くのか
それでは、どういったときに金利が動くのかということですが、一つは中央銀行が低金利政策をした時です。中央銀行は市中に流すお金の量を変化させ、金利を操作することができます。一国の金利が上下することで、他の国にも影響しますので、世界中がアメリカの中央銀行には注目しています。
もう一つは世界的な何かのリスクで、リスクオフ(リスクを避けたい)となるときです。
例えば、新型コロナウイルスで、企業の工場が閉鎖されて、業績に影響が悪くなるなら、株式よりも債券の方が安全です。そのため、債券が買われ、債券価格上昇し、利回り(国債の金利)が下がります。
(また、有事の円買いと言われるように、日本円は安全資産として買われ、円高になることも多いです。アメリカドルやスイスフランもそんな感じがあります)
以上のような、金利・株価・為替の関係があるから、金融関係のニュースでは、中央銀行の動向をとても気にしているのです。大学においても債券運用をしているのなら、こういったニュースは気にするべきと言えるでしょう。
金利上昇・低下の影響(早見表)
ここまでの関係を表にまとめると、以下のようになります。あくまでセオリー(教科書的な傾向)であり、現実には他の要因が重なって逆に動くこともあります。
| 項目 | 金利が上昇する局面 | 金利が低下する局面 |
|---|---|---|
| その国の通貨 | 通貨高(買われやすい) | 通貨安 |
| 株式全体 | 株安になりやすい | 株高になりやすい |
| 既発債の価格 | 下落(利回りは上昇) | 上昇(利回りは低下) |
| 銀行株 | 上昇しやすい(利ざや拡大) | 下落しやすい(利ざや縮小) |
為替・株価が動く要因
金利が動く要因は前章で触れましたので、ここでは為替と株価が動く要因を簡単に整理しておきます。
為替が動く要因
- 金利差:金利の高い通貨が買われやすい(円より高金利のドルにお金が向かえば、円安・ドル高方向)
- 経常収支・貿易:輸出入やサービス取引に伴う通貨の売り買い
- リスクオン/リスクオフ:有事には安全資産とされる円・米ドル・スイスフランが買われやすい(有事の円買い)
- 金融政策の方向性:利上げに向かう国の通貨は買われやすい
株価が動く要因
- 企業業績:増益期待は株高、減益懸念は株安
- 金利:金利上昇は割引率の上昇を通じて、特にグロース(成長)株の逆風になりやすい
- 為替:輸出企業の多い日本では、円安が株高要因になりやすい
- 海外市場・地政学:米国株の動きや地政学リスクの影響を受ける
大学(機関投資家)にとっての金利の見方
大学をはじめとする機関投資家の運用は、株式よりも債券が主軸になることが多く、だからこそ金利が最重要の指標になります。実務で押さえておきたいのは次の点です。
- 金利が上がると、保有している既発債の価格は下がります(評価損が出る)。逆に金利低下局面では評価益が出ます。
- 価格がどれくらい動くかの感応度を表すのが「デュレーション」です。償還までが長い債券ほどデュレーションが長く、金利変動による価格の振れが大きくなります。
- ただし満期まで保有する前提なら、途中の評価損は満期に額面が戻るため最終的には実現しません。評価損益に一喜一憂しすぎないことも大切です。
- 金利上昇局面は、新しく買う債券の利回りが上がるため、再投資にとっては有利な面もあります。
このあたりの具体的な運用手法は、以下の関連記事で解説しています。
