今回は大学の資産運用の目的のお話です。
前回の記事はこちら

大学における資産運用(リーマンショックを越えて)
初めてですが、せっかくブログをやっているので、たまには大学関係の記事も書いてみようと思います。多分、経理・会計・財務関係しか書けませんが。今回は資産運用の話です。国立大学でも、指定国立大学法人制度や運営費交付金の削減から、資産運用に...
前回に続き、私立大学で資産運用をしていた経験から書きます。
さて、なぜ(何のために)運用しているのかといえば、当然ながら運用益を得る、財務のためですね。
それをもう少し詳しく言うと、「特定資産のため」「主に第3号基本金のため」となります。
特定資産(以前は特定目的引当資産とも言った)は、貸借対照表の左側(資産の部)にあり、代表的なものとして、第2号基本金引当特定資産、第3号基本金引当特定資産や、退職給与引当特定資産などがあります。
第2号基本金は将来の固定資産の取得に向けてのお金、第3号基本金は基金のお金、退職給与引当金は教職員の退職金に備えておくお金です。
私立大学は、規程の定めによって多少違うかもしれませんが、これらのお金を運用しています。教育研究に特に大きいのは第3号基本金だと思います。
第3号基本金の中には、それぞれ目的の細分化された基金があり、運用益を使って事業を行います。奨学金や、研究費として使われるものが多いです。
参考:文科省 基本金の定義
基金は、寄付や大学の経常費から組み入れられた、巨大なお金の塊というのようなもの(イメージ)です。その元金は永続的に保持され、事業の廃止など、よほどの理由がない限りは取り崩されません。(取り崩せません)
元金は保持したまま、運用益で事業を行うので、毎年(というか永続的に)続けられるのです。
例えば学納金などの収入が減っても、その年の経常収入から捻出する奨学金や研究費とは違うので安定的です。
(もちろん、資産運用が予定どおりの運用益を生まないと事業の規模は変わりますが)
アメリカの大学のエンダウメントを参考にして、第3号基本金(基金)を増やそうとしている私立大学もあり、今後大学により差が出てくるかもしれません。
参考:ニュースイッチ