さて、前回少しだけ触れた不動産のこと、特に私募リート(REIT)について、説明したいと思います。
目次
そもそも「REIT」とは何か
REITは不動産投資信託というものです。簡単に言えば不動産投資(賃貸経営)を証券化したものです。
通常の投資信託は、投資家から集めた多額のお金で、いろいろな株や債券を買ってポートフォリオとしてまとめて、その利金や配当金、売却益で、分配金を出しています。
REITの場合は、投資家から集めたお金で不動産物件を買い、そこにテナントなどの入居者を入れて、その賃料を元に分配金を出す投資信託になります。
「私募」とは、公募の逆で、限られた人(法人)しか買うことができないというものです。私募リートの場合「適格機関投資家」しか買えません。ただし、特定金銭信託という枠組みを使うと、適格機関投資家でない大学でも取り組むことができます。また、私募リートと公募リートでは上場していないか、しているかという違いがあります。
私募リートの特徴
・不動産鑑定評価額を元に基準価額が決まっていること。(これにより基準価額は上場リートより下がりづらいと言われています)
・上場しておらず流動性が少ない代わりに株式市場の影響を受けづらいこと
・信託期間が(今のところ)期限無しであることが挙げられます。
なぜ人気になったのか
やはり一番大きいのは、マイナス金利の影響で、債券でインカムゲインを取りづらくなったからです。私が担当してたとき、私募リートなら4%程度の利回りを取れました。(今もそうなのかちょっとわからないのですが)
また、もう一つ考えられる人気の理由はオルタナティブ投資の中でも、仕組みが分かり易いことです。CTAとか、ヘッジファンドとか、ロングショート戦略に比べて、はるかに分かり易い仕組みです。(だから、意思決定の関係者からも理解得られ易い)
私募リートのリスク
リスクについては上場リートとほぼ同じです。
まず一つ目は、当然ながら空室のリスクです。入居者がいなければ賃料は入ってこず、分配金も出せません。保有物件の立地や入居率(空室率)をよく見る必要があります。
二つ目は災害リスクです。地震や豪雨で物件に支障が出たら、退去されますね。また物件の鑑定評価が下がれば基準価額も下がります。
三つ目は流動性リスク(流動性低い)です。保有口数が多ければ多いほど、それらを譲渡したり、払い戻し受けるには時間がかかります。ここが、一気に売られこんで基準価額が下がる上場リートと違います。(沈む時はみんな一緒的な感じがしますね)
ということで、安定的なインカムゲインは魅力的な私募リートの説明でした。
大学のような保守的な組織(投資家)だったら分散投資が基本かと思うので、オルタナティブもほどほどにすべきかと個人的には思います。金融機関や生損保の機関投資家ほどは、お金のやり場や利回り追求に困ってませんしね。
参考:J-Money
ARESマンスリーレポート
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