私立大学の職員で、資産運用の部署に異動になったものの、こんな不安を抱えていませんか。
資産運用の担当になったけど何から勉強すればいいかわからないし、なんか専門用語が飛び交ってて、意味不明なんだよなぁ
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私も、資産運用の担当者になったときは同じような思いをして、地道にわからない単語をググったり、勉強したりしてました。
その経験を踏まえて、この勉強をこの順でやっておけばよかったなーというものを以下にまとめたいと思います。
前に、経理関係に異動になったらこれを勉強すると良い、という記事を書きましたが、今回はそのパート2という感じです。今回は資産運用関係メインで書きたいと思います。これをやると、資産運用に早く慣れることができるはずです。
財務関係についても以前、以下のツイートをしました。
以下で解説していこうと思います。
日本の金利について知る(借入金利関係)
日本の長期金利
長期金利は、10年もの国債の利回りを指します。債券の金利(クーポンの利率)とは異なります。債券の価格に影響を与えているものがこれです。次に述べる長期プライムレートにも影響しています。
長期プライムレート(長プラ)
銀行が最優良の企業(業績が良い、財務状況が良いなど)に貸し出す際の最優遇貸出金利(プライムレート)のうち、1年以上の短期貸出の金利のことです。
長期で借り入れをするとき、この金利がベースになって、これに借入をする会社や大学の信用評価などから金利が上乗せされて、借入金利(銀行から見たら貸出金利)が決まります。
しかし、最近では、短期プライムレートをベースに、金利を上乗せして1年以上貸し出す、新・長期プライムレートというものもあります。
短期プライムレート(短プラ)
銀行が最優良の企業(業績が良い、財務状況が良いなど)に貸し出す際の最優遇貸出金利(プライムレート)のうち、1年未満の短期貸出の金利のことです。短プラは
こちらは短期で借り入れをするときのベースの金利となります。これに借入をする個別企業や機関の評価で、金利が上乗せされるのは同様です。
しかし、現在は、短期(1年未満)の借入であれば、TIBOR(Tokyo Interbank Offered Rate:東京銀行間取引金利)+上乗せ金利(スプレッド)で借り入れる「スプレッド貸し」のほうが借入金利が低くて済みます。TIBORとは、銀行間でやり取りする金利で、昨今の情勢だと、短プラよりもTIBORのほうが低いはずです。
実際、例えば銀行の短プラは1.475%が最頻値(つまり多くの銀行が採用している短プラが1.475%)ですが(出典はコチラ)、私のいる大学ではこれより低い金利で、短期資金の借入を行っていました。
日銀がマイナス金利を取っているので、資金のやり場に困っている銀行は、金利を低くしてでも大学などの優良顧客に貸したいのです。
米国の長期金利、スプレッド、利回り、指標のセオリー(債券投資関係)
米国の長期金利
長期金利が、様々な債券の利回りに影響していますので、アメリカの長期金利が下がったら、保有している債券の利回り下がっていると考えてよいです。
米国の長期金利も、日本と同じくらい重要な指標です。
スプレッド
先程も出た上乗せ金利のことです。借入のときは、基準の金利に対して、借りる側(大学側)の財務状況等によってスプレッドが乗せられて、借入していましたが、債券投資をする場合は逆で、大学側がお金を貸す側です。
なので、基準金利に対して、債券を発行している会社・機関(発行体)の財務状況等によって、スプレッドが乗ります。つまり、債券投資で得られる利金(クーポン)が高くなるのです。
利回り
こちらは主に債券で使用する指標です。(株でも予想配当利回りとか使いますが)
SBI証券にわかりやすい説明があったので拝借します。
上記の通り、債券を購入してから償還(お金が返還される)までに、投資金額に対して何%の利益が得られるか、というものです。
詳しい説明は以下をご覧ください。
先程のスプレッドと合わせて、簡単に言えば、業績も財務状況も問題ない優良企業の債券は、スプレッドが小さく、利回りが小さい。逆に、業績や財務状況等に何かしら問題がありリスクが高い企業の債券は、スプレッドが大きく、利回りが大きいということになります。
このあたりの話については以下の記事も参考にしてみてください。
指標のセオリー(金利・為替・株価)
金利と為替と株価の動きについて基本的なセオリーを知っておくとよいです。ただ、実際にはセオリー通りに動かないことばかりですが、理屈を知っておくと大学の資産残高の変化を説明するとき等に役に立ちます。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
日米欧の中央銀行のニュース、FP3級の勉強
日米欧の中銀のニュース
各国の中央銀行は、物価の安定を図るために金融政策を行っています。中でも、アメリカのFRB、欧州のECB、日本の日銀については押さえておくべきでしょう。日本は、我々が日本にいるから言わずもがなとして、米国は世界最大の先進国であり景気を先導しているといっても過言ではありません。欧州も米国についで規模が大きく、世界に影響を与える連合です。
したがって、これらの国の中銀の政策によって、市場は大きく変動しています。初めの方は、ニュースを聞いても全く意味がわからないことも多いかと思いますが、業務をして用語を聞いていくうちにわかっていきます。
証券会社などの金融機関との会話で話題にあがったり、大学における資産運用委員会で話題になったりしますので、とりあえず押さえましょう。
FP3級
FPの範囲の中で、直接、有価証券運用と関わる部分は少ないです。しかし、基本的なことが網羅されているので、押さえておいて損はありません。
また、個人的にも役立つ知識が満載ですので、自分の人生設計にも活きてきます。
詳細は以下の記事をご覧ください。
参考になる書籍
最後に参考になる書籍を以下に載せておきます。
以下の本は、上智大学の委託運用の話も書かれていますし、様々な投資対象についての話が出てきて勉強になります。特にオルタナティブ投資についてちんぷんかんぷんだったとき、理解するのに助かりました。
以下は、私の大学の債券投資に近いものがあるなと思って読了しました。米国ETFとREITの話ですが、大学で取り組んでもよいと思える商品も紹介されています。外国株を個別に買うのは、管理や選定が難しいですが、ETFであれば投資信託の延長線上ということで取り組みやすいのではないでしょうか。
以下の本はまだ読んではいないのですが、Twitterで他の大学職員の方がおすすめしていたので興味を持っています。時間を見つけて読みたいと思っています。
以上になります。財務・資産運用系の部署に異動した人の助けになれば幸いです!
以下では、学校法人会計基準や、私立大学の資産運用について全般的にまとめていますので、よろしければご覧ください。